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学会案内|会長挨拶

会長挨拶

会員の皆様へ -雑草科学の着実な歩みのために-

 本年4月から日本雑草学会の会長という重責を担うことになりました。微力ではありますが、雑草科学の発展と技術開発を通じた社会貢献のために、会員や役員の皆様と一緒に本学会を盛り上げて参りたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 與語前会長をはじめとする前期役員の皆様におかれましては、社会への提言発信や第26回アジア太平洋雑草科学会議開催の取り組みなど、国内外に向けて積極的な活動を展開されましたことに対し、心より感謝と敬意を表したいと思います。提言発信につきましてはその実行には至りませんでしたが、この取り組みの中で、日本雑草学会が社会的責任を果たす学術団体としてどのような組織であるべきなのかが議論され、非営利型の一般社団法人という明確な組織像を描くことができました。去る4月の総会でお約束しました通り、今期の執行部は法人化に向けて準備を進めて参りますが、会員の皆様にはできるだけ早い段階で新しい組織の在り様をお示ししたいと考えています。

 京都でのAPWSS会議には国内外から約420名の参加を得て盛大に開催され、アジア太平洋地域における雑草科学と関連技術開発に関して多岐にわたる研究成果や課題などが発表されました。雑草研究分野は、雑草管理のための実用技術の開発を通して社会に大きく貢献してきました。とりわけ現代の農業分野における生産性の向上と低コスト・省力化において、雑草研究分野の貢献は大変大きなものがあります。しかしながら、農業生産を妨げる要因として、除草剤抵抗性、侵略的な外来雑草、雑草イネなど、今なお深刻な雑草管理上の課題が山積していることが、APWSS会議でも多くの講演で示されました。気候変動のみならず国際的な経済活動や社会構造が大きく変化するなか、それらの脅威はますます大きくなることが予測されます。

 過去には、雑草研究の社会的知名度はあまり高くないといった評価を受けることがありました。私自身もあるラジオ番組に呼ばれた時に、「雑草学会なんて学会があるのですね。雑草研究ってどういったことを研究しているのですか?」といった質問を受けたりもしました。しかしながら、現在は植物保護の分野で雑草研究は明確に位置付けられていますし、農薬取締法のなかでも農薬の定義のなかにこれまで明記されていなかった「除草剤」が、防除対象のなかに「草」が、近々、表記されることになったようです。農業を離れても、人々が生活するほとんどすべての場面で雑草と呼ばれる植物が生活しており、その管理について強い関心を持つ人々がたくさんいらっしゃいます。本学会の会員の皆様は、これら様々な現場の声と日々向き合いながら研究を進めることで、社会から頼られる存在になっておられることでしょう。これも雑草科学を担う会員の皆様による研究活動がもたらした成果の一つであります。繰り返しになりますが、農業生産、植物保護、環境評価など人間生活の全般にわたって雑草研究分野は大変重要な役割を担っており、この分野に対する社会からの期待は年々高くなっています。

 一方で、社会から求められる課題の多さに対して、雑草研究の担い手の少なさを感じるのはきっと私一人ではないでしょう。今期からの新しい取り組みとして、次世代の雑草研究者を育成し、意欲的な研究を支援する事業を開始することとしました。具体的な進め方は専門部署でご検討いただきますが、会員の皆様には学会ホームページでご案内差し上げることといたします。昨年のAPWSS会議には、本学会の50周年記念事業のおりに多くの農薬関係各社から頂いた拠金の一部が活用されました。さらに、今期から取り組む新しい事業にもこの50周年基金を利用させていただくことにしています。法人化、雑草研究者の育成ならびに研究課題への支援は、和英の両学会誌、講演会、シンポジウム、学会賞の選考とならぶ本学会の重要な事業と位置付けています。日本雑草学会が社会からの期待に応えられる責任ある学術団体として、また、会員の皆様一人一人が誇りを持って研究とその成果発表に打ち込めますように、前に向かって事を進めたいと考えています。会員の皆様におかれましては、それぞれのお立場で執行部にご支援を賜りますようお願い申し上げます。

渡邊 寛明

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