オモダカ

Sagittaria trifolia L.
オモダカ科 ALISMATACEAE

中国名: 野慈姑(ye ci gu)
英名: arrowhead(近縁数種の総称)

オモダカの写真

撮影:小林浩幸

特徴

北海道から沖縄まで全国に分布する多年生の抽水植物。水田、沼地などの浅い止水域に生える。塊茎と種子(痩果)で繁殖する。塊茎も種子も春に出芽し、線形の葉を数枚出しながら沈水植物として生育した後、さじ型の葉を水上に出し、次いで特徴的な矢尻型の葉を展開するようになる。茎は短くて見えず、水上に伸びるのは葉柄である。夏に葉腋から花茎を伸ばし、白い三弁花を円錐花序につける。雌雄同株で、花序の下部に雌花、上部に雄花がつく。果実は痩果が球形に密集した集合果で、個々の痩果には薄い翼があり、風や水で分散する。夏から秋にかけて株元から斜め下方に地下茎が伸び、その先端がふくれて塊茎となり越冬する。

雑草としての重要性

全国で水田雑草として問題になっている。塊茎は休眠性をもち出芽が不斉一なため、難防除雑草と認識されてきた。1980年代以降、オモダカの防除に高い効果を示すスルホニルウレア系除草剤(SU剤)が普及し減少に向かう地域もあったが、1998年にSU剤に対する抵抗性バイオタイプが初めて確認されて以降、全国で抵抗性バイオタイプが出現し、ふたたび各地で難防除雑草となっている。SU剤抵抗性のメカニズムとしては、SU剤が阻害するアセト乳酸合成酵素(ALS)のアミノ酸置換と、除草剤の解毒代謝機能の向上の2種類が報告されている。

文化・利用

葉の形状が矢じりの形に似ていることから武家の家紋として用いられてきた。正月のおせち料理に使われるクワイはオモダカの栽培品種にあたる。オモダカとクワイの中間的な形態を示すものにスイタグワイがある。

文献・リンク

雑草モノグラフ: 山河 重弥・伊藤 一幸(2004)
『雑草研究』(和文誌)掲載論文:74件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:11件(2021年12月時点)

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