撮影:(非公開)
北海道から沖縄まで全国に分布する冬生一年草。冬季の水田や畑地、空き地、路傍など、やや湿った土地に普通に生育する。稈は叢生し、高さ20 cmから40 cmほど。葉身は扁平で白緑色、葉舌は白色で長さ2 mmから5 mm。花序は細い円柱状で直立する。水田に生えるものは小穂長が3.0mm程度であるのに対して、畑地や路傍では小穂長が小さく2.3mm程度である。両者には日長反応性や種子休眠性などにも遺伝的な差異が認められることから、それぞれ水田型と畑地型とよばれる。これらを異なる分類群とする場合には、水田型は狭義のスズメノテッポウvar. amurensis (Kom.) Ohwi、畑地型はノハラスズメノテッポウ(ハタスズメノテッポウ)var. aequalisとなる。
冬季の水田(休閑田)や水田麦作圃に多発する。水田麦作では、耕起・播種期である10月~11月頃に出芽し、密生するため、麦の生育を抑制する。播種後に土壌処理剤を散布し、生育期には茎葉処理剤で防除する。しかし、土壌処理剤のトリフルラリンや茎葉処理剤のチフェンスルフロンメチルに抵抗性をもつ集団がみられるので、作用機作の異なる除草剤や耕種的防除を組み合わせる必要がある。また、休閑田の群落がヒメトビウンカなどのイネの害虫の越冬場所となり、イネ縞葉枯病などをもたらすことがある。
草笛として子供の遊びに使われる(稈から花序を引き抜き、1節分(葉鞘から葉身まで)を切り取って葉身を折り、葉身のある側を口にくわえて息を吹き込むと、葉舌が震えて音が鳴る)。冬季の水田に繁茂したスズメノテッポウをすき込んで、緑肥として利用することもある。
『雑草研究』(和文誌)掲載論文:47件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:2件(2021年12月時点)
©︎2022 日本雑草学会
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