スズメノカタビラ

Poa annua L.
イネ科 POACEAE

中国名: 早熟禾(zao shu he)
英名: annual bluegrass(アメリカ雑草学会)

スズメノカタビラの写真

撮影:下野嘉子

特徴

主に秋期から春期にかけて生育する一年草。ユーラシア原産のコスモポリタン種で、全世界に分布する。日本では北海道から沖縄の平地、畑地、路傍、空き地、果樹園、人家周辺に分布し、山地から高山の登山道や山小屋周辺などでもみられる。全株無毛で、茎は高さ5〜30cm、偏平・平滑、光沢があり、叢生し直立または斜上する。葉は長さ2〜8cm、幅2〜3mm、線形、先は急にとがる。葉舌は長さ3〜6mm。花序は卵形、長さ3〜8cm、枝は各節に双生し平滑で、植物体の大きさに対し葉舌が大きく目立つ。小穂は楕円形、長さ4.5〜5mm、3〜5小花からなる。小花の護穎は長さ3〜3.2mm、内穎は2.5〜2.8mm。護穎基部の縮毛はない。雄しべは3個、葯は淡黄色、花柱は2個。果実は披針形、腹面はくぼみ淡褐色、無光沢、長さ1.5mm。花期は4〜10月で種子繁殖する。変種として、稈が倒伏し節から発根する多年草型のツルスズメノカタビラ(var. reptans Hausskn.)がある。全国の平地に見られる、全草帯青緑色で護穎の中脈・脈間に軟毛の多い型をアオスズメノカタビラとすることがあるが、分類学的には未整理である。同属の近縁種に近畿以西に分布するツクシスズメノカタビラ(P. crassinervis Honda)がある。

雑草としての重要性

冬から春の畑(主に露地野菜)、花壇の植え込み、庭、芝地、ゴルフ場の雑草である。ゴルフ場ではベントグラスのグリーンに侵入し、刈高3~4mmの状態でも開花結実するため、刈り込み管理では防除できない。グリーンでSU剤抵抗性のバイオタイプが確認されている。畑作では中耕防除に加え、土壌処理剤(ペンディメタリン、トリフルフラン、ジメテナミドP等)と茎葉処理剤(アージラン液剤、クレトジム)による防除が行われているが、発生が長期間続くため完全防除が困難である。

文献・リンク

『雑草研究』(和文誌)掲載論文:59件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:5件(2021年12月時点)

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