ショクヨウガヤツリ

Cyperus esculentus L.
カヤツリグサ科 CYPERACEAE

中国名: 油莎草(you sha cao)
英名: yellow nutsedge(アメリカ雑草学会)

ショクヨウガヤツリの写真

撮影:押川純二

特徴

種子および塊茎で繁殖する多年生の外来種。1980年頃に栃木県で確認され、東北南部、北陸以南の本州、四国、九州に分布する。別名キハマスゲ。畑地、水田、飼料畑、牧草地、路傍、空き地、河原などに生育する。栽培型と雑草型があり、国内に分布するのは雑草型である。茎は断面が三角形で太さ1cm未満、高さ0.3~1.2m、葉は幅3~10mm、しばしば茎より長く、明緑色~黄緑色、無毛。葉の表面はやや光沢、裏面は白色を帯び、やや軟質。ハマスゲと間違われることが多いが、ショクヨウガヤツリの幼植物の葉は斜上し、ハマスゲの葉は地表を覆う点で異なる。小穂は藁色、苞葉は花序よりはるかに長い。果実は灰褐色。地下部は、細い根のほかに褐色と白色の縞模様の地下茎が複数張り、根の先端に塊茎をつける。日当たりのよい場所を好み、湿潤から乾燥地に生育する。

雑草としての重要性

湿潤地から乾燥地にかけて生育し、牧草地、畑、水田の雑草となる。栃木県では飼料畑や牧草地で大きな群落が確認される。熊本県、宮崎県、鹿児島県の水稲早期栽培水田に侵入・定着しており、周辺の畑や転作畑への分布拡大が懸念されている。高知県の早期栽培水田でも多数見つかっている。カヤツリグサ科雑草(ショクヨウガヤツリ、ハマスゲ、ミズガヤツリ、コゴメガヤツリ、カヤツリグサ等)は同定が困難なことから、国内での正確な分布域は把握されていない。飼料畑での防除法としてハロスルフロンメチルの茎葉処理が有効であるが、茎葉処理1回のみでは防除しきれないため、土壌処理剤との体系処理が有効である。早期栽培水田では収穫後の防除で塊茎形成を抑えることが重要である。

文化・利用

ショクヨウガヤツリは南ヨーロッパ、アフリカ北部・西部で塊茎を食用にするため生産され、日本にもタイガーナッツの名で輸入されている。国内に分布するのは雑草型で、特に利用されていない。

文献・リンク

雑草モノグラフ: 澁谷 知子・森田 弘彦(2005)
『雑草研究』(和文誌)掲載論文:22件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:1件(2021年12月時点)

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