イヌホタルイ

Schoenoplectiella juncoides (Roxb.) Lye
 異名(シノニム):Schoenoplectus juncoides (Roxb.) Palla
 異名(シノニム):Scirpus juncoides Roxb.
カヤツリグサ科 CYPERACEAE

中国名: 萤蔺・萤藺(ying lin)
英名: (不詳)

イヌホタルイの写真

撮影:森島靖雄

特徴

北海道から沖縄までの全国に分布する多年生の湿性植物で、生育地はおもに水田である。農業現場では単にホタルイと呼ばれることもあるが、植物学的にはホタルイ(Schoenoplectiella hotarui (Ohwi) J.Jung et H.K.Choi)とは別種である。越冬株からの萌芽や種子で繁殖する。越冬株からの萌芽は覆土されることによって強く抑制されるため、水田で発生する個体の多くは種子由来である。種子は、土中で冬を越えることによって休眠から覚醒する。休眠から覚醒した種子は、好気条件下より嫌気条件下でよく発芽する。未発芽の種子は、夏期に二次休眠に入る。茎は直立性で草丈は60~80cm。数本の茎が根元よりそう生する。茎は円柱形、色は深緑である。葉は茎の根元にあって葉身はない。花期は7~10月。花序は茎の先端につくが、茎から連続する棒状の苞葉があるため、見かけ上、茎の途中についているように見える(仮側生)。3~9個ほどの小穂がかたまってつく。そう果は広倒卵形で、長さは1.5~2.0mm。9月頃から株の基部が肥大化し、越冬株となる。

雑草としての重要性

弥生時代の水田遺跡からも出土しており、水田雑草としての歴史は古い。史前帰化植物と考えられている。種子発生する水田雑草の中では出芽深度が3~5cmと比較的深く、除草剤の種類によっては防除効果が不十分となる。イネへの競合や肥料分の収奪による雑草害だけでなく、斑点米カメムシの水田への誘因源になる。スルホニルウレア系除草剤(SU剤)はイヌホタルイに対して高い防除効果を示したが、1997年には抵抗性バイオタイプが北海道で発見され、それ以降も東北地方で抵抗性バイオタイプの発見が相次いだ。Trp574でアミノ酸置換したALS遺伝子の場合には、SU剤以外のALS阻害剤にも強い抵抗性を示すことが報告されている。

文献・リンク

『雑草研究』(和文誌)掲載論文:162件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:11件(2021年12月時点)

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