ワルナスビ

Solanum carolinense L.
ナス科 SOLANACEAE

中国名: 北美刺龙葵・北美刺龍葵(bei mei ci long kui)
英名: horsenettle(アメリカ雑草学会)

ワルナスビの写真

撮影:三浦励一

特徴

日本各地の牧草地、飼料畑、水田畦畔、河川敷、道路の植え込み、公園、芝生、路傍、空き地、林縁などに発生する。夏生の多年生で、地上部生育期間は5~10月、開花・結実期は6~9月であるが、同種の分布拡大には根系(クリーピングルート)の水平および垂直方向への伸長や旺盛なシュート発生といった栄養繁殖によるところも大きい。地上部の草高は条件が良ければ1 m以上になる。葉は互生、葉身は卵形~卵状長楕円形、大型の鋸歯がある。茎、葉柄、葉の裏面の葉脈沿いに鋭い棘がある。花は10個前後のまばらな房状花序、花冠は5裂の白~薄紫色でジャガイモの花に似ている。果実は熟すと橙黄色になる液果で有毒。根系は典型的には水平根と垂直根から構成され、根断片から水平根を発生させ一定の長さ以上伸長したのち下方へ湾曲し垂直根となる。水平方向には年間約3m、垂直方向へは約1m伸長する。

雑草としての重要性

牧草地や飼料畑など農耕地のほか、河川敷や植栽など多くの非農耕地や施設でも雑草として認識される。果実が有毒であるため牧草地での発生や飼料への混入が問題になるほか、茎葉の鋭い棘が怪我の原因になる。頻繁な刈取や除草剤による管理によって地上部の発生は一旦抑制するものの地下部を含めた群落全体を根絶させることは困難とされる。また、切断された根断片には再生能力があるため、耕起はかえって雑草害を大きくさせる恐れがある。したがって、刈取や除草剤施用に加えて、侵入の初期段階から茎葉の棘に注意しつつなるべく根系まで抜き取って除去することが有効であろう。

文献・リンク

雑草モノグラフ: 宮崎 桂・西田 智子・浦川 修司(2011)
『雑草研究』(和文誌)掲載論文:36件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:7件(2021年12月時点)

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