チガヤ

Imperata cylindrica L.
イネ科 POACEAE

中国名: 白茅 (bai mao)
英名: cogongrass(アメリカ雑草学会)

チガヤの写真

撮影:下野嘉子

特徴

北海道南部から沖縄まで全国に分布する多年生の在来植物。河川堤防、空き地、草地、水田畦畔、放棄水田、海岸など多様な立地に生育する。草丈は10cmから 150cmで環境によって様々である。葉身は平らで線形、先端は尖り、葉鞘と曖昧につながる。根茎は直径3mm程度で先端は鋭く尖り、節ごとに定芽を有する。この根茎を深さ30cmあたりまで主に水平方向に張り巡らせて旺盛に繁殖し、耕耘等で切断された根茎の断片からも新しい株を形成する。風媒他殖性で幅広い遺伝的変異を持つ種子を生産する。円錐花序で、全体が長さ10~20cm程度の円柱状となり銀白色の長毛に覆われる。春に開花し、花期の異なる2型が存在する。これら2型はフシゲチガヤ(普通型)とケナシチガヤ(早生型)に分けられ、形態的には開花稈の節毛の有無で区別されるが、生育環境もやや異なる。冬期に地上部は枯死し、根茎で越冬する。

雑草としての重要性

熱帯から温帯の畑地で害を及ぼす雑草とされている。アメリカ合衆国では日本から持ち込まれた本種が在来植生を脅かす等、問題となっている。日本では畦畔等の周縁部から農地内に根茎を伸ばして侵入し、根菜類を貫通する等の物理的な障害もある。一度定着すると根絶は困難である。

文化・利用

根茎は生薬名で「茅根」、花穂を「茅花」と呼び、噛むと甘いため古くは子供が食べていた。家畜の飼料、茅葺き屋根や神事の茅の輪くぐりの材料として用いられてきた。現在では、根茎の緊縛力を活かしてのり面の緑化のために植栽されることが多くなった。チガヤの優占する草地は年数回の刈り取りで維持され、他の多様な在来植生との共存が可能であることから、生態系の保全という意味でも期待されている。

文献・リンク

雑草モノグラフ: 冨永達・西脇亜也・水口亜樹・江崎次夫(2007)
『雑草研究』(和文誌)掲載論文:80件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:15件(2021年12月時点)

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