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外来雑草早期警戒システム

1980年代後半から全国の飼料畑を中心に多種多様な外来雑草が侵入し,深刻な被害をもたらしています。 近年は,水田転換畑のダイズ作においても帰化アサガオ類などの外来雑草の侵入が確認されており,地域によっては壊滅的な被害が生じています。 通常は,それらの防除技術の開発は各地にまん延して深刻な被害が顕在化した後となるために,対策の遅れから被害がさらに大きくなることが多くなっています。

外来雑草対策は,侵入防止および早期発見・早期対策が基本です。

外来雑草は未侵入段階から定着,拡散,まん延という段階を経て大きな被害をもたらしていますが,それぞれの段階で講じられる対策の目的は異なり,その手段も異なります。 そこで,本システムでは,「未侵入」「侵入初期」「まん延」の3段階に分けて,それぞれの段階に応じた評価手法でランキングを行い,各段階での対策の対象とする外来雑草の優先順位を決定するシステムとしました。

*WRAはWeed Risk Assessmentの略。この値が大きいほど雑草リスクが高いことを示す。

参考文献→黒川ら(2015)雑草研究60(3):101-106

大豆作で警戒すべき未侵入外来雑草

ここで未侵入段階というのは,「国内」に未侵入というものだけでなく,対象作物ごとに未侵入のものを含んでいます。未侵入段階では,侵入防止を目的としており,早期発見,早期対策による駆除が目標となります。 警戒すべき外来雑草をランキング表示していますので,上位の雑草に対してより警戒してください。

警戒ランキング 種名 WRA* 想定される被害 防除について
1 Ambrosia grayi 12.0 最大80%以上の減収。汚損粒の原因。 有効な防除法がないため、見つけ次第手取り除草する。
2 Apocynum cannabinum 9.9 最大40-60%の減収。汚損粒の原因。 有効な防除法はないため、見つけ次第手取り除草する。
2 Cynanchum laeve 9.9 つる性。汚損粒の原因。 有効な防除法はないため、見つけ次第手取り除草する。
4 Ambrosia trifida(オオブタクサ) 7.0 最大80%以上の減収。 すでにトウモロコシで甚大な被害。大豆では有効な防除法はない。
4 Anoda cristata(ニシキアオイ) 7.0 最大60-80%減収。汚損粒の原因。 後発生の個体が残存するので、落葉期以降も防除する。
4 Galega officinalis 7.0 汚損粒の原因。 有効な防除法はないため、見つけ次第手取り除草する。
7 Cirsium arvense(セイヨウトゲアザミ) 5.6 減収は最大でも20-40%程度。汚損粒の原因。 一旦侵入すると、地下茎で繁殖するので、見つけ次第防除。
8 Sorghum halepense(セイバンモロコシ) 4.9 汚損粒の原因。 一旦侵入すると、地下茎で繁殖するので、見つけ次第防除。
9 Panicum dichotomiflorum(オオクサキビ) 2.2 最大80%以上減収。汚損粒の原因。 土壌処理剤および茎葉処理剤で防除する。
10 Elytrigia repens(シバムギ) 1.8 最大40-60%減収。 土壌処理剤および茎葉処理剤で防除する。

地域全体でまん延を防ぐ侵入初期外来雑草

侵入初期のものは,今後急速に分布拡大するおそれがあり,被害の拡大を防ぐため,分布拡大防止(封じ込め)が目的となります。 ここでのランキングの意味は防除を講じる外来雑草の優先順位です。予算に限りがある場合など,対策の優先順位を考える必要がある場合にはこのランキングをご活用ください。

防除優先ランキング 種名 WRA 主な被害 防除について
1 Sicyos angulatus(アレチウリ) 12.0 大型のつる性。壊滅的被害。 水系で急速に分布拡大するので、水田地帯では地域全体で面的に管理する。
2 帰化アサガオ類(Ipomoea hederacea(アメリカアサガオ) I. coccinea(マルバルコウ) I. triloba(ホシアサガオ) I. lacunosa(マメアサガオ) I. purpurea(マルバアサガオ) 11.0 つる性。壊滅的被害。 畦畔から侵入すると思われるので、畦畔等ほ場周辺を含めて面的に管理する。
7 Solanum ptychanthum(アメリカイヌホオズキ) 4.0 液果、汚損粒の原因。 リニュロンを含む除草剤の効果が高い。収穫期に残草しない体系の確立が必要。
8 Physalis angulataL. var.angulata(ヒロハフウリンホオズキ) 3.5 液果、汚損粒の原因。 リニュロンを含む除草剤の効果が高い。収穫期に残草しない体系の確立が必要。
9 Abutilon theophrasti(イチビ) 3.0 大型草種。大幅な減収。 種子寿命が長いので、侵入防止を徹底する。
10 Xanthium occidentale(オオオナモミ) 2.1 大型草種。大幅な減収。 ベンタゾン液剤の効果が高い。後発生したものも大型化するので注意する。

すでにまん延段階と考えられる外来雑草

すでにまん延段階まで進んでしまったと考えられる外来雑草としてはアメリカセンダングサ(Bidens frondosaがあります。こうしたまん延段階の種については,それ以上の被害拡大を防止するとともに被害軽減技術開発を推進する必要があります。 この段階までに至らないように,できるだけ被害を未然に防ぐ対策を優先しましょう。