2008年11月4


10回 畑作雑草研究会 開催のお知らせ

畑作雑草研究会(日本雑草学会学術研究部会)

 10回畑作雑草研究会を下記の要領で開催いたします。

 つきましては参加御希望の方は,氏名および所属,連絡先を明記の上,11月28日までに電子メールにて下記までお申し込みください。今回は第4回雑草の個体群生態学研究会(日本雑草学会学術研究部会)との共同開催となります。多数の皆様の御参加をお待ちしております。

1.日時:平成20年12月4日(木) 13:00〜16:00

2.場所東京ガーデンパレス(東京都文京区湯島1-7-5 電話03-3813-6211)
・JR中央線「御茶ノ水駅」下車、「聖橋口」より徒歩5分
・東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」下車、徒歩5分
・東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水駅」下車、徒歩5分
  http://www.hotelgp-tokyo.com

3.内容

1)宮城県に入荷した輸入穀物中の雑草種子と同県内における飼料畑・大豆固定転作ほ場に発生する雑草について

吉田修一(宮城県大河原農業改良普及センター)・熊谷千冬(宮城県農産園芸環境課)

大規模な飼料基地の存在する宮城県石巻港で加工された畜産濃厚飼料(マッシュ製品)に雑草種子の混入は認められなかった。しかし,加工前の輸入穀物からは,少なくとも23種の異なる植物種子を確認できた。混入を認めた草種であるオオブタクサ,オオオナモミは畜産農家ほ場や畜舎近辺に発生しており,加工品以外の飼料に由来する可能性が考えられた。また,県南部で大豆の固定転作を続けている地域におけるアサガオ類やその他草種の発生状況について報告する。

2)北部九州の水田転換大豆畑での畑雑草の発生状況 −大豆転作の推奨は現場に何をもたらしているか−

保田謙太郎(九州沖縄農業研究センター)

 北部九州での大豆の栽培面積は転作の推奨によって1995年の2倍に増加した。これにともない転作周期の短縮化や複数年にわたる大豆の連作が生じ,水田転換大豆畑での雑草管理のメリットが失われてきた。そのような中,日本の他地域と同様に帰化雑草を含む畑地の雑草が水田転換大豆畑で増加してきた。ここでは,新たな脅威となってきた帰化雑草の北部九州4県(福岡,佐賀,熊本,大分県)の大豆畑での発生状況とともに,転作周期の短縮,特に大豆作の固定化が雑草の種構成に及ぼす影響について報告する。

3)コムギ圃場のネズミムギ被害の達観調査と被害査定

石田義樹(静岡県農林技術研究所)

 近年,静岡県中央部の水田転換畑のコムギ作においてネズミムギが侵入雑草として蔓延し問題となっている。被害実態の定量化と適切な防除対策の立案には,地域レベルでの雑草害の把握が重要であるが,圃場別のコムギの収量調査やネズミムギの発生量調査には多大な労力を必要とし,広域の調査は困難である。そこで,ネズミムギによる被害の簡易査定を目的とし,達観調査による調査指標の活用を図った

4)GISを使った雑草個体群のサンプリングと面的調査法

渡邉修(信州大)

 雑草個体群の管理を行う上で,圃場や地域レベルの分布情報が得られれば効果的に対策を進めていくことができるが,分布範囲や個体群密度などの情報は極めて不足している。GPSで発生地点の情報を得ることが技術的に容易になっているため,ここでは点情報を面的情報へ拡張する手法と効率的なサンプリング法を,GISツールを活用しながら紹介する。

5)予測から提言へ -モデルにもとづく各種輪作体系における雑草個体群動態-

浅井元朗(中央農業総合研究センター)

 輪作体系の違いが発生草種とその動態に大きな違いをもたらし,それに応じた防除対策が求められる。これは生産現場ではよく認識されていることである。しかし,その動態を説明し,経年変化を予測し,管理対策を提言するための生態学的な裏づけはこれまで不十分であった。雑草の種子生産量,埋土種子の生存率,防除圧といった数値を組み合わせたモデルにより,任意の栽培体系における動態が記述できる。モデルの概略と各種の予測を示し,防除技術・普及指導への利用可能性について議論する。

総合討論等

4.参加費(予定)

雑草学会個人会員:無料

雑草学会個人会員以外:¥2,000

連絡先

〒305-8666 茨城県つくば市観音台3-1-1
農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター 雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム 浅井元朗

電子メール: masai@affrc.go.jp(全角で表示していま す.送信時には半角で入力して下さい)

  畑作雑草研究会は畑作における雑草管理技術に対する基礎研究から現地情報まで知見を共有・検討する場として,日本雑草学会学術研究部会の一つとして平成 15年に設立しました。

 雑草の個体群生態学研究会は雑草学における個体群生態学研究の重要性を認識し,研究者間の意識的な議論と協力を行う場として設立され,平成15年より日本雑草学会学術研究部会として活動を行っている。