ヒロハフウリンホオズキ

Physalis angulata L. var. angulata
 変種の区別をしない場合:Physalis angulata L.
ナス科 SOLANACEAE

中国名: 苦蕺(ku ji)
英名: cutleaf groundcherry(アメリカ雑草学会)

ヒロハフウリンホオズキの写真

撮影:下野嘉子

特徴

熱帯アメリカ原産の一年草。関東地方以西に帰化している。茎はよく分枝し、ほとんど無毛。葉は卵形で、縁には鋭鋸歯がある。黄白色の花冠は直径7mmから10mmあり、内面中央が褐色を帯びるが、顕著な濃紫色の斑はない。萼は花後成長し、袋状になって液果を包む。ひとつの果実に100以上の種子ができる。葉の幅が狭くて花冠の直径が4~5mmのものは変種ホソバフウリンホオズキ(var. lanceifolia (Nees) Waterf.)、葉の幅が狭くて花冠の直径が6~8mmのものは変種アイフウリンホオズキ(var. pendula (Rydb.) Waterf.)とされるが、ホソバとアイを区別しない見解もあり、またそもそも変種を区別していない文献も多い。二倍体(2n=24)および四倍体(2n=48)の集団が報告されている(Ramanpreet & Gupta 2015)。別名センナリホオズキとする文献も多いが、「日本帰化植物写真図鑑第2巻」(2010年)では、日本で従来センナリホオズキとされてきた植物は別種のP. pubescens L.であるとしている。

雑草としての重要性

日本の大豆作および小豆作の難防除雑草となっている。作物の減収をもたらすだけでなく、コンバインによる収穫作業を妨げ、収穫時に混入することにより、茎汁や液果による汚粒発生の原因にもなっている。出芽時期が初夏から秋まで長期にわたることから、土壌処理除草剤のみでの防除が難しい。

文化・利用

ヒロハフウリンホオズキ・センナリホオズキを含むグループは世界各地の伝統医学において、皮膚炎、気管炎、リウマチ、肝炎など様々な病気の治療に広く用いられている。植物化学研究によると、顕著な抗炎症作用、抗腫瘍作用、免疫調節作用を示す物質が単離されている。

文献・リンク

『雑草研究』(和文誌)掲載論文:13件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:0件(2021年12月時点)

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