ハルタデ

Persicaria maculosa Gray
 異名(シノニム):Polygonum persicaria L.
 狭義(ヨウシュハルタデを除く):Persicaria maculosa Gray subsp. hirticaulis (Danser) S.Ekman et Knutsson
タデ科 POLYGONACEAE

中国名: 春蓼(chun liao)
英名: spotted lady’s thumb (ITIS);redshank(Invasive Species Compendium);smartweed(タデ類の総称)

ハルタデの写真

撮影:下野嘉子

特徴

北海道から沖縄まで全国に分布する夏生一年草。水田畦畔や畑地、樹園地、空き地、路傍などに普通に生育する。茎は分枝し、暗赤色でまばらに毛が生える。春に咲く個体は小型で高さ15~30 cmほどであることが多いが、栄養条件のよい畑地では80cmに達する。秋に咲く個体は高さ180 cmもの大型になることがあり、オオハルタデとよばれたこともある。葉は短い柄があり、長楕円形から披針形で、両面に短毛が生え、表面の中央に帯紫色の斑紋がある。托葉鞘の縁毛は長さ約1mm。花序は円柱状で直立し、柄には短い腺毛がある。花被片は白色から濃赤色。痩果は黒くて光沢があるレンズ形で、まれに3稜形。多型種で、関東北部から東北南部では、ハルタデの大型個体に似てさらに大型になるシラカワタデ(subsp. hirticaulis (Danser) S.Ekman et Knutsson var. amblyophylla (H.Hara) Yonek.)が報告されている。基準亜種のヨウシュハルタデ(subsp. maculosa)は茎に毛がまったくなく、ヨーロッパや西アジアに分布し、日本にはまれに帰化する。

雑草としての重要性

やや湿った畑地や樹園地に多くみられる。出芽時期が早いが、夏季でも中耕にともなって出芽がみられ、中日性のため春から秋まで開花・結実する。そのため、春植えのジャガイモ畑や茎立ち前の麦畑に多発して雑草害を及ぼす。また、北海道のテンサイ畑では、とくに直播栽培においてイヌタデやオオイヌタデとともに多発する傾向がある。麦作では、出芽時期が麦の播種よりも遅いため、ハルタデの出芽後、麦類の茎立ち期までに茎葉処理剤を散布する。夏作では、土壌処理剤を散布する。

文化・利用

先史時代には果実が食用にされたことがあったが、今ではほとんど利用されない。

文献・リンク

『雑草研究』(和文誌)掲載論文:15件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:1件(2021年12月時点)

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