ネズミムギ

Lolium multiflorum Lam.
 異名(シノニム):Lolium perenne L. subsp. multiflorum (Lam.) Husn.
イネ科 POACEAE

中国名: 多花黑麦草・多花黑麥草(duo hua hei mai cao)
英名: Italian ryegrass(アメリカ雑草学会)

ネズミムギの写真

撮影:市原実

特徴

ヨーロッパ原産の一年生(越年生)の外来種。明治時代以降に牧草や緑化植物として日本に導入され、その後北海道から九州まで全国で野生化した。草丈は30cmから100cm、葉身は長さ11cmから20cm、幅3cmから8cmで、下面に光沢がある。5〜6月に開花する。穂状花序をつけ、小穂は中軸に2列に並び、穂の先端の1小穂だけが2個の包穎をもち、側面の小穂は第一包穎がなく、第二包穎だけをもつ。護穎には芒がある。風媒による他殖性であるため、同属のホソムギ(L. perenne)やボウムギ(L. rigidum)と交雑し、多様な形態の雑種が生じていると考えられている。しかし、Lolium属の分類に混乱が見られることから、交雑の実態は不明な点も多い。

雑草としての重要性

コムギ作において作物の減収をもたらす問題雑草となっている他、河原や草地など自然度の高い生態系にも侵入し、環境省及び農林水産省によって「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種」に指定されている。水田畦畔に生育するネズミムギは、稲の害虫である斑点米カメムシ類の主要な生息地となっている。開花期には大量の花粉を飛散させるため、花粉症の原因になる。各種除草剤に対する抵抗性バイオタイプが報告されており、日本ではグリホサートおよびグリホシネートに対する抵抗性が報告されている。

文化・利用

イタリアンライグラス(Italian ryegrass)という名で、近縁のホソムギ(英名ペレニアルライグラス、perennial ryegrass)やこれら2種の交配種とともに世界中で牧草として利用されている。河川堤防や道路造成に伴って生じた裸地斜面の緑化にも利用されている。

文献・リンク

『雑草研究』(和文誌)掲載論文:78件(2021年12月時点)
Weed Biology and Management (英文誌) 掲載論文:14件(2021年12月時点)

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